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松岡徹のバルセロナ日記 03


2004.9/25


18年ぶりの柔道が祟って左胸の筋肉を痛め、今週早速柔道はお休み。 バルセロナに来て三週間くらいですが、ようやく予定していた居候先のアトリエの掃除も終わり、今までお世話になったリュイスの実家からお引っ越しです。本当ははじめからアトリエの中にある小さな個室で寝泊まりしながら、作品も広いアトリエで悠々と作るつもりでした。でも、バルセロナに着いてアトリエに行ったら、とても人が住めるような状態ではなく、今日まで地道に少しづつ片付けてきたのです。広いアトリエなのでまだ片付けなくてはならないところもあるけれど、このくらいなら人は住めるレベルかな? ということで今日から無事にアトリエ住まいになりました。と言っても、リュイスの実家にいると奥さんやお母さんの手料理がいただけるので、行ったり来たりになりそうです。しかも今夜、ネズミが忍者走りしているところを発見! 見なけりゃよかった。すこし暗い気分です。
 
今週は、作品を作ってほしいと言う人のお宅に行ってきました。何度かこの国のお金持ちに会ったことがあるし、お宅にもお邪魔してますが、人間的にもお屋敷的にも(もちろん土地的にも)すごいお宅でした。ずーーーっと昔から(何百年?)お金持ちだったんだろうな〜としか思えない。そういうレベル。でも周りに言わせると上の中か下らしい。その庭かどこかになにか作ってほしいそうな。広〜〜〜いお庭。来年から始める予定。どうなりますやら。
 
ついでに中国やベトナムかどこかのアンティークの箱の修理も頼まれました。こっちではアーティスト(売れない)はそういうことをよく頼まれて仕事にしています。ペンキ塗り、家具の修理、看板書き、溶接のできる人はそういうことも……。すでに僕は自転車も直したし、去年は知り合いの子供のためにビッケの帽子(小さなバイキング、ビッケ。知らない? 日本の昔のアニメが人気だったから)と剣を作ったりもしました。
 
世の役にも立たないのにひたすら一人ワザを磨くアーティスト(江戸時代の剣豪みたい)に、「その培ったワザをすこし世のために使いなさい、そしてお金を稼ぎなさい」と、そういう社会のシステムが確実にここにはあります。アーティストをみんなで育ててます。視線が暖かいと言うか、認められた社会なんだと実感してます。「自分の周りにアーティストらしき人がいて初めて社会らしい社会」と考えているのかな。こういうことも文化というのかも。
 
とにかくお金持ちとアーティストの関係は深い。どっかの社長ときたら、家にはで何かしらでかい作品を持ってるし、アーティストの友達も何人かいる。そこらで飲んだくれているおっちゃん達だって、アーティストの一人や二人は知り合いだったりするし、家には絵が飾ってあるし、友達にアーティストがいたら必ず作品を買って持ってる。この間もバルで夜中の3時過ぎに酔っぱ らっているおっさん(本当にただのおっさんだよ、太っちょの)から好きなアーティストの話を延々と聞かされた。どうやら自分の生まれた村の出身のアーティストのことらしかった。そういうことをすごく大切にしている。
 
美術が好きとか嫌いじゃないみたい。嫌いな絵はあるけど好きな絵もあるし、絵は嫌いでも彫刻は好きだったりするから、大抵の大人たちはみんな自分の好きなアーティストや好きなタイプの作品が必ずある。もちろん例外はいるだろうけど。ここは、そういう社会のように見える。日本も、もう少しだけアーティストをおもしろがってくれるようになるといいんだけどね。まずはおもしろい作品を作れってか?
 

 
 
 サン・フィリュの柔道教室。日本人が来
 たのは初めてだそうですごく喜んでくれ
 た。でも今週休み。情けない。

 
 
 
 
 
 アトリエの庭から見える空。青さでいっ
 たら日本の空はまったくかなわない。
 でも沖縄なら……。

 
 
 
 
 

 
 お屋敷。池と玄関。すごいなーっていう
 写真がなくてすいません。想像してくだ
 さい。とにかく一山です。

 

 
 
   

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