Office Matching Mole on the Web/週刊モグラ屋通信 22



 週刊 モグラ屋通信 第52号 2002.4/5  


内藤です。すみませんでした、前回告知した 「そこが知りたい 特捜!板東リサーチ」 (3月14日放映。名古屋のテレビ局CBC制作) の佐久島特集番組ですが、 アート関係ぜんぶカットされていました 。う〜む、残念! でも、テレビのちからというのはものすごいもので、放映後の土日の観光客のすごいことといったらまぁ。関心いたしました。でも、そんな観光客の中にも、大葉邸を訪れた人は少なくなかったようで、棚からボタモチ? そんな観光客の何人かと話す機会がありましたが、みなさん結構無目的に島を散策するのを楽しんでおられる、とのこと。よきことよきこと。 ◆写真:FM岡崎に出演したりしているモグラ屋。記念にこんなカードをいただきました
 
翌、15日には、平田五郎の作品の舞台である『大葉邸』の持ち主、大葉さんご一家が、わざわざ神奈川県から来てくださるとの連絡を受け、再び佐久島へ。御当主の大葉勝さんにとっては中学卒業までの数年を過ごした少年時代の懐かしい場所。さらに、佐久島生まれのお母様にとってはたくさんの思い出のある家です。私たちの企てた『佐久島空家計画 大葉邸』の今の姿を、どのような思いでご覧になるのか? 正直言って不安でした。でも、誰にも省みられることのなかった家が、こういうかたちで新たな命を吹き込まれ、たくさんの人が訪れる場所になったことを、大葉さんご一家はとても喜んでくださいました。
 
家の歴史について、はっきりとしたことが分からなかったのですが、実際に大葉さんにお会いして、いろいろなことがわかりました。「空家になって30年くらい?」という風聞は間違いで、本当は昭和28年から約50年もの間空家になっていたそうです。それにしては、保存状態がいいのは、島内に残った親戚の方の手入れがよかったのでしょうが、元々住んでいる時点で、ものすごく手入れされていたことが屋内を見るとよくわかります。実は、庭の制作におおわらわで、ほとんど内部を見ていなかった私たち――。ご高齢のお母さまの案内で、この家がどのように使われていたか、どんな歴史を持っているのかの一端を知ることができました。 ◆写真:大葉邸にて、大葉家のみなさんと親戚の藤井さん
 
印象的だったのは、もう80代も後半のお母さまが、ものすごくいきいきと家について話をされていたことです。ここには、大切な大切な思い出があるのだということが、痛いくらいに伝わりました。そういう場所を、「三河・佐久島アートプラン21」の事業に、快く提供してくださっていること、この家をお借りして、私たちがなすべきことの重要さを改めて感じました。とても個人的に、大葉家の人たちに来年もここで会いたいと強く思いました。私は、ほんの少し涙しました。
 
「大葉邸」のプロジェクトは、今後も継続を予定しています。本年度は、いよいよ家の作品化に取り掛かることになるでしょう。毎年、少しずつ、この家が変っていく姿をその折々に見ていただけると嬉しいです。とりあえず、4月からも引き続き「大葉邸」が公開されることが決定いたしました。佐久島のページには、そんな大葉邸を写真で紹介するページを更新いたしました。どうぞご覧ください。
 
そうそう、今回、平田五郎によって作品の舞台となるまで、大葉邸は佐久島では単に「あの空家」とか「大葉さんが住んでいたところ」という風に呼ばれていました。後日、何人かの島民が普通に「大葉邸は〜」とか話しているのを聞いて、可笑しくも嬉しく思いました。島民にとって大葉邸は、数ある空家のひとつから、何か特別な場所に変ったようです。
 
現在進行形の仕事
三河・佐久島アートプラン21 『佐久島体験2002 祭りとアートに出会う島』 企画・制作/4月5日更新
 
 
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 週刊 モグラ屋通信 第53号 2002.4/22  


年末から、先日まで土日 (もちろん正月も) 返上で働いてきたオフィス・マッチング・モウル。4月の末からまた忙しくなる嵐の前のつかの間の休息で、先週はお休みを取っていた内藤です。その間、プライベートで4日間の九州旅行。毎日違う温泉に入って至福の数日間でした。どんな温泉に入ったか、つい言いふらしてしまうけれども、特に印象に残ったのは、別府市内にあるレトロな雰囲気満載の昔々の健康ランドみたいな温泉。そこでは衝撃の混浴初体験までしてしまいました。いや〜、内湯は一応男女別になっていて、外にまた男女別の蒸気風呂があると表示してあったので、タオル一枚でふらふら外へ出て行ったら、確かに蒸気風呂は男女別でしたが、そこへ行き着くまでの空間は、老若男女が自由自在に行き交うハダカ天国であったとさ。あ〜、びっくりした。さらに、露天風呂その1をのぞいてみたら、係のおじさんが山からはらはらとお湯の上に落ちている木の葉を掃除していたのはいいが、全裸であった。しかも、真正面にこっち向いてるし。で、そのハダカのおじさんに「どうぞどうぞ入っていいですよ」と明るく声をかけられたりなんかした日にゃあ、入らないわけにもいくまい。しかし、その後、ばたばたと数人のそんなにおじさんでもない男たちが入ってきて、ちょっと身動きとれなくなる。あやうくのぼせるところでした。ふう。その外に、さらに豪快な混浴露天風呂があったのだけれども、もうお腹いっぱいって感じでパスしてしまった私は、まだまだ温泉修行が足らないのう。この日は、他府県人向けにソフトにアレンジされているバッタもんとは違う、ある種バタ臭いというか動物臭い本場の豚骨ラーメンなど食べてあらたな衝撃を受けたり。濃すぎです、九州。
 
最終日には、ふたたび別府の露天風呂でふやけておりました。あんまり極楽なので、その喜びを分けてあげようと、全身から湯気を発散しながら、携帯電話で池田に報告してしまったほどです。温泉の他にも、大分名物の鳥の唐揚げとかてんぷらを大量に摂取したり、大分限定販売の「かぼすキティちゃん」 (サンリオのキティちゃんが大分名産のカボスをかぶったり、カボスに取り巻かれたりしている笑える構図。しかし、池田の情報によると北陸には越前蟹をかぶったキティも存在するらしい。ちょっと無茶じゃないか?) グッズを姪っ子のお土産に購入したりしていましたが、さすがにちょっとだけアートなお時間を過ごしました。
 
数年前、初めて九州を訪れたときは、名古屋芸大講師の高橋綾子といっしょに、田川で展開されている川俣正のコールマイン・プロジェクトを訪れ、ペンキ塗りのボランティアをして川俣さんといっしょにスパゲティで昼ごはんしたりしたアートツアーだったけれど、今回はともに磯崎新設計の、大分市立美術館とアート・プラザ (旧県立図書館。現在は「磯崎新記念館アート・プラザ」と改称) のみを見学。美術館には、大分ゆかりの日本画家・福田平八郎の作品が所蔵されているということで、楽しみにしておりましたが、常設展には出品されておらず残念。敷地内には、青木野枝の鉄の作品などが設置された散策路などもあり、予想以上に気持のいい空間でした。面白かったのは、現代美術のコーナーで、地元の作家の作品を見たことでしょうか。まったく知らない作家の作品に出会う面白さもあれば、その作品を知っている作家の場合でも「この人、ここの出身だったのか」と初めて知る楽しさもあります。後日、市立美術館とアート・プラザで現代美術の企画展や、中村政人のワークショップなどあるらしい予告チラシを発見。時期がずれていて残念でした。
 
で、のほほんと温泉につかり、大分県内を縦横無尽にかけめぐっていた4日間。私は、訪れた先々の観光地のインフォメーションなどが、もう気になって気になって仕方ありませんでした。関心するものもあれば、「私だったらこうするのに」とじりじりしたり。さらに、あちこちの温泉でうだりながら、「もしこの町でアート・プロジェクトをするとしたら?」と、ついうっかり考えてしまい、わらわらといろいろなアイデアが浮かんでは消え、消えては浮かんでしまうのもアート・マネジメントを生業とする人間の悲しいサガなのかもしれません。それとも、単に温泉のあるところで仕事したいだけなのか? 地域でのアート・プロジェクトのしごとをしていると、「ただアートだけ」という風にはいかず、アートの視点を持って何ができるか? ということに思いをめぐらすことになるのは必至です。画廊や美術館での展覧会という純度の高いアートへの渇望が、時折、狂おしいほどに湧き上がってはくるものの、もう後へは引けないという圧倒的な実感もまたあったりする今日この頃です。
 
さて、話は前後しますが、4月6日にノブギャラリーでスタートした ロジャー・アックリング 展 のオープニング・パーティーにでかけてまいりました。展覧会のためにアーティストも来日しており、私もお話する幸運を得ました。さすが本場の英国紳士は違う。ものすごくジェントリーな方でした。おまけにフレンドリー。なんでも数日間の滞在中、一日を佐久島で過ごしたということで、なんと佐久島の浜辺で拾った木切れを作品にしたものが、展覧会に出品されておりました。それが、ロジャー・アックリングが今年初めて制作した作品だそうです。小さな木片を、虫眼鏡で集めた太陽の光で焼いたもので、ため息がでるほどに丹精な作品ばかりでした。アックリング夫妻は、佐久島がめちゃめちゃ気に入ったらしく、また訪れたいとおっしゃっていたので、その時には案内することを約束しました。展覧会は5月5日まで。上質のミニマル・アートを見る絶好の機会です。 ◆写真:ロジャー・アックリングと奥様とモグラ屋内藤
 
そうこうするうちに、新しいしごととして、池田が担当している岡崎市シビックセンター 資料室(ジャズコレクション)の展示コーディネート第一弾がスタート。4月17日に発売された『BT/美術手帖』の特集記事には内藤が見開き2ページほど書いていたりして、いろいろ、やってますモグラ屋。
 
現在進行形の仕事
三河・佐久島アートプラン21 『佐久島体験2002 祭りとアートに出会う島』 企画・制作
岡崎市シビックセンター 資料室(ジャズコレクション) 展示コーディネート
 
 
     
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