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オフィス・マッチング・モウル 週刊モグラ屋通信 48


本日の担当:山口
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 週刊 モグラ屋通信 第118号 2005.6/2  

みなさんは、一般人が宇宙旅行に行くことが現実のこととなっているのをご存知でしたか? 愛知万博が開催中の現在、マッチングモウル内では“宇宙”や“未来”といった希望に胸が膨らむ話題がよく登場するのですが、先日、内藤が「宝くじで1億円が当たったら絶対宇宙旅行に行く!」と宣言していたので、そこで初めて私は民間の会社による宇宙旅行ツアーがあることを知りました。さすが社長。私は世界一周の船旅が一生の夢だと思っていたのに、考えることが大きいです。
 
その民間会社による宇宙旅行ツアーは、2008年に運行を予定しており、先月日本でも募集の受付が始まったそうです。気になる内容は、アメリカで3日間のトレーニングを受けた後、カリフォルニアの空港から母船で高度5万フィート (約1,500万キロ) まで運ばれ、そこから音速の3倍というスピードで高度100キロの宇宙空間まで上昇するそうです。もう単位がすごすぎて全然想像がつきません。そして宇宙滞在時間は約25分、無重力状態となるのは約5分で、フライトにかかる時間は約3時間とのこと。こう聞くと随分身近に感じます。しかし、このツアーのお値段は1人20万ドル (約2,200万円) 。新築の家を建てるよりは安いけれど、確かに宝くじで1億円くらい当たらないと、一般人はいけませんね。けれども、もし内藤が行ったら、それはそれは面白いレポートを書いて、多くの人々を楽しませて、希望を与えてくれることは間違いないでしょう。どうか内藤に宝くじが当たってほしいです。
 
ところで、大阪万博を体験した内藤から熱い思いを聞き、また、すでに2度も行った池田から感想を聞いてずっと行きたかった愛知万博へ近々行ってきます。 今年の夏に佐久島で展覧会をする木村崇人さん が、 6月13日〜19日に万博の瀬戸会場の対話ギャラリーで体験型インスタレーション「木もれ陽プロジェクト」を展示 するので、それを体験してきます。この「木もれ陽プロジェクト」は、普段私たちが見る木もれ陽は太陽を光源にしているためその形は丸いけれど、光源がお星さまやハートマークだった場合、木もれ陽はなんと、お星さまやハートマークになるということが体験できるらしいです。残念ながらこの企画については、万博のガイドブックやウェブサイトでは詳しい情報が載っていないのですが、こういったあまり知られていないけどおもしろそうな企画を知っている方、ぜひぜひ教えてください。午後5時からは入場料が半額になるお得な制度もあるらしいので、せっかく近くで開催されているのだから、「万博会場でちょっとお食事でも」といった楽しみ方をしている名古屋在住の知人ぐらいに気軽に万博を楽しみたいです。
 
現在進行形の仕事
三河・佐久島アートプラン21 『佐久島体験2005 祭りとアートに出会う島』 企画・制作/6月2日更新
岡崎市シビックセンター 内田修ジャズコレクション 展示コーディネート/継続中
 

本日の担当:内藤
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 週刊 モグラ屋通信 第119号 2005.6/6  

だらだら続いております、大阪万博話その3。その1。世界との距離感、それからその2。想定できなかった近未来に続く今回は、「科学の進歩=輝く未来」だった頃のお話です。
 
時代に刷り込まれた価値観というのは、簡単に変わるということはないでしょう。たとえばバブル時代の申し子である池田が、貧乏な今でもあの頃の価値観にある意味支えられて生きているのと同様、私たちの世代というのは、「科学の進歩=輝く未来」だった60〜70年代の価値観を今も捨て去ることは難しい。いや、中には反動で「地球にやさしい」とか「エコロジー」だとかいうのを価値観の第一に持ってくる人もいます。私だって「地球にやさしい」とか「エコ」とかであることについてはやぶさかではないのだけれど、それが“価値観の第一”とは言いたくない気持ちが、根底にはある。なんかそれを言ってしまうと、60年代生まれの私としては“敗北感”すら感じるのです。これって、若者には理解しがたい感覚なのかもしれません。
 
何年か前に韓国で“638世代”というのが話題になってました。当時、韓国人留学生に「“638世代”って、60年代生まれで30代で80年代に大学生活送った人たちのことなんですよ」と聞いて、「おお、それってどんぴしゃ私たちの世代じゃん」って思ったもんです。それは日本では「オタクがオタクとして認識された世代」でもあり、私や小川信治が愛するとある文学ジャンル(笑)の人たちも、この世代に集中している。ついでにいえば、アートの世界でもアーティスト、ギャラリスト、私と同業であるアート・マネジメント関連にとっても多い。多いだけでなく下の世代と比べてうるさいので目立っている。第二次世界大戦後すぐに自由経済の元に民主化されてる国なら (韓国は少し時代がずれるけれども) ほぼ同様の状態といえますでしょう。共通するのは「科学技術の進歩と明るい未来がセットになっている」という希望的観測的価値観を持っていたこと。
 
それは今から考えるとバブル経済と同じくらいに能天気な価値観と考えることも可能でしょう。でも、今となってもそれを否定して「人間の幸福にとって必要なのはこのくらいの科学技術で十分」だなんて言えないし、言いたくもない。科学技術の発展によってもたらされるさまざまなマイナス要因は、人間の知恵 (=新たな科学技術) で克服するべきだという考えを放棄することは難しい。「エコロジー」と同じくらい「コミュニケーション」とかを第一価値観にもってこられると「けっ」と思う。軟弱だなぁ、と。アートの場合なんかはさらに、展覧会とか作品とかでそういうのがテーマだと脱力してしまう。ちいさいなぁ、ちいさいちいさい、了見が。宇宙はこんなに広いのに、引きこもり同士のコミュニケーションなんてどうでもいいじゃん、みたいな。
 
佐久島の仕事をしているので、私が地球にやさしいエコな方向性だと思う人もいるかもしれません。でも、佐久島でやっていることって、そういうことじゃあないんです。島の伝統文化や自然に、異物である現代美術を持ち込むことで化学反応を起こそうとしているのです。異なるものの出会いから発生する摩擦熱みたいなものをきっかけに、新しい世界の発見に結びつくように。銀河のかなたに出かけなくても、新世界を見つけることはできるはず。それがアートのちからじゃなかったっけ? 少なくとも私は佐久島に常設展示されている木村崇人の『ガリバーの目』を見た時、「人間の脳ってすごい」と電気ショックみたいな衝撃を受けましたよ。癒しじゃないんだなぁ、もっとポジティブなの (そういえば木村崇人のテーマも“科学とアート”でした。もう私の好みが炸裂だ) 。まぁ「戦略としての癒し」みたいな言い方は可能ですが。
 
生まれるたった18年ほど前、私の親が子どもの頃は空から爆弾が降ってたというのに、物心付いた頃にはテレビや電話や車が一般家庭にどんどん持ち込まれ、さらに人類が月まで行っちゃった時代――。その洗礼を受けた身としては、未だどっぷりとあの時代の価値観に漬かっているな、と思います。大阪万博というのはつまり、そういう時代の価値観のモニュメントだったんだな、と思います。あれは、価値観をかたちにしたものだったんだな、と。ひいき目に見ても、かなり単純という指摘はごもっとも。科学技術の進歩がもたらすマイナス要因 (わかりやすいところで言えば公害問題。4大公害訴訟とか言えますか? 私は言えます) の大襲来を迎える直前の牧歌的モニュメントです。「進歩と調和」が大阪万博のテーマだったけど、どうも調和の方はイマイチだったな、とかね。人間は科学技術の進歩の上をいく馬鹿げた愚行を繰り返すことも承知の助。けれどそのモニュメントがもたらし、さらに今も捨て去りがたく自分の中にあり続けるのは、単純な「科学技術の進歩」ではなく、その奥に感じ取ることのできたセンス・オブ・ワンダーと人類の持つ可能性への期待なんだけれども……。今の美術の世界に足りないのはまさにこれだと私は思うのですが、当然ながら現時点では業界的にマイナーな考え方であることは否定しません。(で、「三菱未来館」はどうなったのよ? 飽きてなかったら続く)
 
 
現在進行形の仕事
三河・佐久島アートプラン21 『佐久島体験2005 祭りとアートに出会う島』 企画・制作/5月18日更新
岡崎市シビックセンター 内田修ジャズコレクション 展示コーディネート/継続中
 

 
     
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