三河・佐久島アートプラン21
佐久島体験2005 祭りとアートに出会う島
 
松岡徹展 2005
『佐久島のお庭』 写真リポート
 
   『佐久島のお庭』の舞台大島       作品制作前の設置予定地
 
 
右上写真とほぼ定点観測の設置後のようす   水仙も咲き乱れるお庭
 
  左から大山、遠田山、秋葉山、富士山という実在の佐久島の山を表現
 
 
   富士山には階段で登ることも       「富士山登頂に成功だ!」
 
 
  子どもたちも大人も、富士山登山に大喜び。登ったり下りたり大忙しです
 
  富士山山頂からのながめ。結構絶景   お庭の小道を見つめるのはなぜ?
 
“海神さま”へ続く小道には島民が持ち寄ったお皿がモザイク状に埋められた
 
  海神さまのまわりの土手にも水仙が咲き乱れている。「いい匂いじゃ」
 
 『佐久島のお庭』のスケールがわかりますか? お庭はまだまだ進化します

 
 
【関連情報】
 松岡徹展 『佐久島のお庭』 開催のお知らせ
 松岡徹ワークショップ 『佐久島のお庭の小道をつくろう』 写真リポート
 松岡徹展 2001 『サクシマ劇場』
 松岡徹展 2003 『どこか、おかしい。』 写真リポート
 
【同時期開催】
 佐久島アート・ピクニック 2005
● 松岡徹展 『佐久島のお庭』
  2006年3月4日〜3月31日
  会場:佐久島島内 大島

 
 『佐久島のお庭』は常設展示作品として、展覧会会期終了後もご覧いただけます。
 
 
佐久島にまたひとつ、
不思議な場所がうまれます。

 
佐久島東渡船場から徒歩5分。100メートルほどの堤防型の橋を渡ると大島へたどりつく。以前は、綿の栽培がされていたと島びとが語るこの小さな島は、現在、一角に町営の海釣りセンター(無料)があり、その他のほとんどが公園になっている。
 
早春には自生水仙が咲き乱れ、秋にはヒガンバナも見事なこの場所に、3年ほど前から梅園の整備が進められてきた。取り組んでいるのは、島民の有志と、一色町本土側のライオンズクラブのメンバー。すでに何百本もの植樹がおこなわれている。
 
しかし、大島の土地は岩盤の上が赤土であつく覆われていて、これまで植えた梅の木はなかなか育たないでいた。同時期に島の他の場所に植えた梅はすでに人の背丈ほどに育っているのに……。今年、佐久島でのアートプロジェクトのサポートでも活躍する島民の活性化有志による“島を美しくつくる会”のメンバーが、大掛かりな土壌改良に取り組んだ。
 

 
そんな大島で、今回アーティスト松岡徹は作品を制作することになった。松岡が佐久島で個展を開催するのはこれで3回目だ。
 
2000年度の『サクシマ劇場』では、不思議なモノが島の風景の中に出現したところを撮影した写真作品による展覧会だった。2度目の2003年『どこか、おかしい。』は、このプロジェクトの中でも特に反響が大きかった記念碑的展覧会。
 
島内十八ヶ所に置かれた立体作品やのぞき箱の作品を巡りながら歩けば、「普通に歩いていても佐久島の風景の中にいろいろなものが見えてくる」と観光客を驚かせた。佐久島の魅力を作品に取り込み、さらにその魅力を作品を通して増幅させるというプロジェクトの方向性を最大限に活かした展覧会でもあった。
 
 
地域に根付く作品がある
 

 
今回の展覧会で会場をどこにするかを考えた時、島民の要望である「東地区にももっと作品を!」という言葉が決定のひとつのきっかけになった。また、佐久島を知り尽くした松岡徹にとっても、大島は新たなチャレンジの舞台として、やりがいがある場所だった。梅の植樹をされた空き地は、なんでもできると同時に、大きなスケールも要求するのだ。
 

 
作品『佐久島のお庭』の中心になる連山は、左から大山、遠田山、秋葉山、富士山という実在の佐久島の山を表現し、これが佐久島そのものを現している。富士山(フジヤマと発音)には階段が付いていて、山頂まで登ることができる。標高2メートル50センチ。だが、登ってみると見晴らしのよさに驚くだろう。
 
写真ではわかりにくいかもしれないが、山の表面には芝生が貼られた(現在は植えたばかりで表面は目土がかぶせてある)。春になると芝生が根付き、小さな山並みは緑に覆われるはずだ。想像してみてほしい。
 

 
階段を降りると、枕木が円形に並んだ小さな広場がつくられている。お庭に遊びに来た子どもたちは(時には大人も)、階段の昇り降りと同じように、枕木のサークルをぐるぐる走り回ることにも熱狂していた。
 
そのサークルから子どもたちが走り出すのは、くねくねと、まるでおとぎ話の中に出てきそうな小道だ。小道には、島民がこのプロジェクトのために提供してくれたお皿を割ってモザイク状に埋め込まれている。そしてお皿の間には、丹梨海岸で集めたきれいな小石が埋まっている。
 
「きれいすぎて歩くのがもったいない」と笑う老人のわきを、歓声をあげながら子どもたちが走り抜けていく。小道の終点にあるのが釣りの神様“海神さま”だ。海神さまによじ登ったり、その顔を笑顔でなでまわす子どもの姿を見て、この作品もまたきっと佐久島に根付いていくだろうと確信した。作品『佐久島のお庭』は大島の、そして佐久島の一部になった。
 
(文責:オフィス・マッチング・モウル 内藤美和)
 
 2005年度全記録
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■主催: 幡豆郡一色町
■共催: 一色町大字佐久島・島を美しくつくる会
■企画・制作: 有限会社オフィス・マッチング・モウル

小道に埋められたお皿は、佐久島島民の生活のカケラでもある
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