三河・佐久島アートプラン21
佐久島体験2001 祭りとアートに出会う島
 
佐久島空家計画 大葉邸 ―緑の庭―
写真リポート
 
 

 
 
 

 

 
【関連情報】
 アーティスト・イン・レジデンス ボランティア募集
 平田五郎によるアーティスト・イン・レジデンス/
 佐久島空家計画 1 『大葉邸』について

 佐久島空家計画・制作記録

西地区の住宅地にある迷路のような路地。散策の楽しみ、喜び―(写真左)
 
「大葉邸」の入り口から中をのぞく。そこには、まったく別の風景がある(写真右)
 
 
 
 
 
 
 
佐久島の海岸で集めた石で埋め尽くされたこの庭に、平田五郎は「緑の庭」と名付けた。
 
今は乾いた石の表面が、時を経てどのように変っていくのか? 完成時は冬だが、季節が変ると庭の木々も緑におおわれていくだろう。
 
また、雨の日には、ぬれた石の表面が、庭にまたあらたな表情をもたらすだろう。季節、天候の異なる日に、それぞれ足を運んでみたくなる。

 
 
 
 
 
「大葉邸」は、平田五郎の手によって、次からは室内空間の作品化を予定している。
 
庭はこの場所の導入部として、特別な意味を持っている。ともすれば、単なる石畳とも見えるこの庭は、新しい空間を創出するためのキャンバスのようなものでもある。
 
そこに何かを加えていくのは、目には見えない「時間」だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
石畳の庭に、切り裂くように走る深い溝――。この溝の存在が、この空間を単なる庭ではなく、作品たらしめている。
 
溝は古い井戸から伸びている。溝をのぞき込めば、この庭の地下にひそんでいた地下水を見ることができる。
 
溝の底に黒く光る水の面は、乾いた石でおおわれたこの庭が持つ水の気配を地表に伝える。
 
いつもは目に見えないものを、作品というかたちで表面に引き出す。引き出された水には、忘れられた空家からアーティストが汲み取ったイマジネーション同様、豊穣の予感がただよう。
 
 
 
 
 
 
 
美術館でも画廊でもない場所に、作品が置かれるというのはどういうことなのだろうか?
 
それは、その空間を日常の生活の場とする人たちに何をもたらすのだろうか?
 
高波を防ぐために防波堤が築かれ、砂害を防ぐために砂防林がつくられる。
 
では、アートは、忘れられていく記憶、見落とされていくものたちをつなぎとめ、私たちの日常にあたらしい世界への扉をあける鍵にはならないだろうか?
 
 
 
 
佐久島の人たちは、都市生活とは異なる、自然の法則―潮の満ち引き―と密接に結びついて生きている。彼らに、アート世界のことばは通じない。
 
労働によって鍛えられ、故郷に深く根ざした海の民。彼らの心に届くのは、理論ではない。けれど、確かに届くものはある。
 
アートにはそのちからがある。
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■主催: 幡豆郡一色町
■共催: 一色町大字佐久島・島を美しくつくる会
■企画・制作: 有限会社オフィス・マッチング・モウル

半年前の「大葉邸」。雑草に埋もれて静かに眠っていた
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