三河・佐久島アートプラン21
佐久島体験2001 祭りとアートに出会う島
 
松岡徹展 『サクシマ劇場』 のための
島びと交流会・リポート
2001年12月1日(土) 15:00〜17:00
会場/弁天サロン 寄り合いの間


アーティストと島びとの出会いの場を

三河・佐久島アートプラン21は、島の祭りに連動したさまざまなイベント(音楽やアートのワークショップやアート・イベント)と、展覧会の2本立てで構成されます。企画側から、アーティストへ与えられた課題は「佐久島でなければできない展覧会であること」、そして「展覧会によって、アート(アーティスト)が地域社会(島の人たち)との交流を持てるような内容であること」です。それに応えた2回目の個展が、松岡徹展です。
展覧会のタイトルは『サクシマ劇場』。「島びと交流会」とは、この展覧会のオープニング・パーティーのことです。
 
サクシマ劇場

「島びと交流会」に集まってくれた人たちは、まず、松岡作品を見るためにギャラリーへ。そこには、紙を素材にしたふたつの立体物が立っていました。それは、紙でつくられた「着ぐるみ」のような衣装で、ギャラリーの壁には、その衣装を身に着けた2人の女性が、佐久島の風景の中で佇んでいる写真が展示されています。
 
松岡徹は、夏におこなわれた弁天祭りの折に、弁天堂のある筒島の奥の院の竹林で、竹を使ったインスタレーションを試みました。また西の盆踊りへ向かう提灯行列で使った提灯をペットボトルで制作するワークショップもおこなっているため、何度も佐久島を訪れ、また島内を歩き、島の人たちとも交流してきました。そんな松岡の目が捕らえ、生み出した佐久島の新しいものがたりに、私たちはここで出会うことができました。
 
  交流会では、展覧会に出品されている紙による衣装と同じ過程でつくられた照明作品が紹介され、翌日のワークショップで、その型になる粘土を自分たちでつくってみようと、作家からの説明と呼びかけがありました。ちいさな紙の造形物が、電源を入れるとぼおっと明るく点るようすは、交流会参加者の興味を誘ったようで、翌日のワークショップには交流会参加者の顔も多く見られました。
 

佐久島に現れた不思議なものたち
 

松岡徹展『サクシマ劇場』会場風景
 

サクシマのすべてが舞台になる
 

それは松岡の紡ぎだす新たな物語
 
「サクシマ劇場」
松岡徹のふしぎな世界


アニメーション映画「もののけ姫」を見たことがありますか? 映画では、森の中にたくさんの不思議なモノたちが住んでいました。たとえば「木霊(こだま)」と呼ばれる小さな小さな妖精のようなモノ。人間ではない。でも、動物でもない、木でもない、石でもない――。それらは「もののけ姫」だけでなく、昔からおとぎ話の中で、ずっと語られ続けてきました。どの地域にも、そんな不思議な物語があり、佐久島にもたくさんの物語が伝わっていると思います
 
物語が語られるということは、その場所に「力」があるからです。それは「記憶」という、人間によって築かれた思い出の積み重なりの力だったり、「自然」の力だったり、そのふたつの入り組んだものの力だったりします。現代でも、人々はある場所の中のかくされた力を感じることができます。その感じたものは、時に「物語」というかたちで、私たちの前に姿をあらわします。多くの物語が語られる場所――、それは、多くの隠れたエネルギーや魅力を持っている場所でもあります。
 
アーティストの松岡徹は、サクシマを歩き、島の中に隠された「場所のエネルギー」を体験しました。そして、そこで感じたことを、作品というひとつのかたちにしました。今回、弁天サロンで開催される松岡徹展『サクシマ劇場』は、松岡徹によって語られるひとつの佐久島の物語です。登場するのは、お姫様のようなモノと、海からやってきた不思議なモノ。見慣れた佐久島の風景の中に、物語の登場人物たちがあらわれることで、私たちはその場所に隠された力(エネルギー)を想像することが出来ます。
 
佐久島の風景は、それを見慣れた島の人たちにとって、一見ありふれたものに思えるかもしれません。けれど、松岡徹がそこに不思議な物語をつむぎ出したように、佐久島には、とても大きな「場所の力」があります。そして、場所の力は新しい物語をそこに生み出す可能性を秘めています。そのことを発見した人は、自分にとっての新しい物語に出会うため、何度も佐久島を訪れることになるでしょう。松岡徹による展覧会『サクシマ劇場』は、佐久島の持つ場の力と可能性を強く感じさせるものです。
 
2001年11月
文責/オフィス・マッチング・モウル 内藤美和

展覧会会場には作品鑑賞の手引きが用意される。今回は、そこで松岡徹の作品世界を紹介した
 
 
 
 

松岡徹
 

松岡徹の挨拶に耳を傾ける交流会参加者
【関連情報】
 松岡徹展 『サクシマ劇場』 へ
 ワークショップ 『思い出の宝物』 参加者募集のお知らせ
 ワークショップ 『思い出の宝物』 ・レポート
 松岡徹作品による 『2002年新春インスタレーション』 レポート
 特別展 『思い出の宝物』 ・レポート
 同時期開催 八日講祭り

松岡作品を手にする交流会参加者
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■主催: 幡豆郡一色町
■共催: 一色町大字佐久島・島を美しくつくる会
■企画・制作: 有限会社オフィス・マッチング・モウル

松岡作品に興味をしめす子ども
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