Office Matching Mole on the Web/週刊モグラ屋通信 4



 週刊 モグラ屋通信 第11号 2000.1/5  


あけましておめでとうございます。昨年10月10日にオフィス マッチング・モウルをスタートさせて以来3ヶ月が過ぎ、2000年を迎えてスタッフ一同、ますますはりきっております (とりあえず3ヶ月持ったことに胸をなでおろしたり……) 。さて、オフィス マッチング・モウルの代表でありますところの不肖ワタクシ内藤は、2000年の初日の出を愛知県蒲郡市の竹島へ見に行ってまいりました。竹島で初日の出、続いて竹島の八百富神社で初詣 (そこで参拝客に出される甘酒を飲み、おみくじをひく) というのをもうかれこれ10年以上続けているのですが、さすが2000年の初日の出とあって、人出は少なく見積もっても例年の1.5倍。当日は素晴らしい晴天に恵まれ、新年のはじめの一日をとてもさわやかな気分で迎えることができたのでした。


竹島八百富神社でひいた私のおみくじは 大吉 でございまして、そのこころは 春風に花の開くが如し だそうです。詳細はというと聞かれてもいないのに書きますが、願望は「やすくかなふ」わ、待人は「来る」わ、 商業は「利益充分」 だわ、運気「末よし」、旅行も「よろし」、失物は「高き所より出づ」だわ、安産だわ思いがけぬ良縁があるので時を待てだわ (なに? 本当なのか?) と大変なことになっとります。「目上の人に引き立てられて立身する」そうで、誰? 誰なの? その目上の人とは? 早く現れてぇ! などとどきどきしつつ、ひとり三河湾の穏やかな海に向かって「よっしゃぁ!」と気合を入れてまいりました。今年もがんばります。


昨年末の話になりますが、オフィス マッチング・モウルは29日にささやかな忘年会を行いました。岡崎から車で約1時間、長野方面に向かって山道を車で飛ばしてたどり着いたのはいわゆる 道の駅 なんですが、そこに銭湯があるんです。モグラ屋はその どんぐりの湯 にて、ジャグジーやらヒノキ風呂やら、日替わり薬湯風呂やら露天風呂やらサウナやらの各種の風呂をハシゴしたりして、1999年に溜まった疲れをすっかり払拭。すっかりいい気分になって、岡崎市内のインド料理屋でカレーなど食べながら、2000年のあれこれを語り合ったのでした。


そんなモグラ屋ふたりの新年は4日に内藤が池田家に新年のご挨拶に行く、というところから始まりました。いっしょに仕事を始めて、準備期間も入れれば約半年近く行動をともにしていた我々ですが、池田のご両親にこれが初対面。「ふつつか者ですが」「お嬢さんをくださいっ」……結婚前の新郎新婦を一人二役してしまう私なのでした。比喩ですが。少し気持ちがあらたまったような気がしたひととき。


その後、池田とともに 愛知県美術館 『セザンヌ展』 (〜3月12日) の内覧会およびレセプションへ。さすがセザンヌだけあって、けっこうな人出でした。ブリジストン美術館所蔵の作品を見て、ああ、これを前に見たのはたしか学生時代に京都でだったなぁ、と懐かしく思い出しました。それはすでに17年も前のことで、その作品を見た途端に不思議とその時の展覧会に出品されていた他の作品や、その時の印象などがふつふつとよみがえって来るのでした。


さて、こうしてモグラ屋通信でたらたらとのどかな日常のことばかり書き連ねているのは、ひとえにまだオフィス マッチング・モウルの本年度のプロジェクトが公表できる段階ではない (と、日記には書いておく) からですが、その問題については営業担当の私が徐々に解決してゆくとして、今週中には池田による特集記事をアップしますのでまともな美術話をお楽しみくださいませ。



Top             Bottom



 週刊 モグラ屋通信 第12号 2000.1/12  


内藤です。1月5日を仕事始めと決めて、この日はひとり事務所でデスクワーク。6日には池田が初出勤ということで、気持ちを盛り上げるためにふたりでオフィス マッチング・モウルの『初詣ツアー in 岡崎』を敢行いたしました (ああ、またアートとは無関係の話題に……。すみませんっ。左はツアーにでかける前の新年のモグラ屋の図) 。氏神である事務所近くの小さな神社からスタート。次に訪れたのは滝山寺というところなのですが、ここには滝山東照宮というのがあるんです。日本三大東照宮のひとつ、と看板にありましたが、日光や久能山と比べるとその規模はあまりにプリティ。もしかして、日本には東照宮が三つしかないのでは? とかも思ったりしましたが、しかしここは徳川家康生誕の地、岡崎。三大のひとつに数えられてもおかしくないともいえましょう。


三番目に訪れたのが伊賀八幡宮。八幡宮といえば戦の神様。初詣ツアーにここを選んだわれわれの闘志が知れようというものでしょう。そのうえ、岡崎から天下を取った徳川家康および松平徳川家ゆかりの神社を選んでいる、ってとこもその希望願望および野望はミエミエなのですが、まぁ心意気ですよ、心意気。三番目には岡崎城のたもとにある龍城神社で今年の干支である龍にもご挨拶。そういえば、今年のNHKの大河ドラマは『徳川三代』だし、なんか2000年はモグラ屋の年かもっ! とか、ひととおりの豪快なイメージ・トレーニング (自己暗示とも言うが……) を済ませて、最後は学芸の神様のおわす岡崎天満宮で初詣ツアーを締めくくったのでした。


翌日からはデスクワーク。モグラ屋の地下活動的仕事をひとつしあげて郵便局から発送。ちょっと一息。来週の予定がびっしりなので、それまでに片付けるデスクワークに引き続き数日間没頭。オフィス マッチング・モウル宛てにたくさん年賀状をいただきましたが、この場を借りてお礼申し上げます。現在かかっている原稿は年賀状代わりに関係者にお届けする予定です。しばらくお待ちくださいませ。


11日は池田とふたりで名古屋へアートなおでかけ。最初に、ガレリアフィナルテにて『平林薫 展』 (1月22日まで) 。次に名古屋市民ギャラリーで本日から23日まで開催される『Art Contact 触れ合い、創造する現在 』。参加作家は藤原隆洋、橋本公成、山崎亨、飯田啓子、西島一洋、吹田哲次郎+國府理の7人。企画はハヤシイクマサさん。どんな展覧会かを知らずに池田に誘われるままにのこのこ出かけて行った私ですが、これはねぇ、なんかすごく楽しかったです。展覧会のタイトルのある通り、見るだけでなく触れたり「体験」も出来る作品が多いのが勝因でしょうね。体験型のアートとくれば、まわりに人がいようがなんだろうが、とりあえず体験してみるという性分な私は、いきなり 藤原隆洋 さん( スタジオ食堂のメンバー)の作品によじのぼって天井付近でピンクのぐるぐるに取り囲まれながら寝椅子ですっかりリラックス。この作品は昨年、佐倉市美術館で開催された『知覚の実験室 Laboratory of the Senses』に出品されたのと同じシリーズで作品タイトルも同じ TUB 。藤原さんによれば体験している人も鑑賞者から見れば作品の一部だそうで、それを称して「具」とおっしゃっていたのには笑いましたが。


次にチャレンジしたのは 吹田哲次郎 さんの作品。これもまた面白くておもわず参加。展示室に置かれているのはグランドピアノが一台。隣のテーブルには幅が10数センチ、長さが40センチくらいの白い厚紙が置いてある。この厚紙にマジックペンでなんでもいいから書いて、ピアノと連動している機械にセットするとあら不思議! 機械がペンの跡を読みとってそれがピアノによって演奏されるのでした。私は厚紙に大きく「Office Matching Mole」と書いて機械にセットすると……、そこからは最初は現代音楽風、その後は池田の言葉によれば「意外と叙情的」である妙なる調べが流れてきたのでした。う〜ん、面白い。これはたぶんオルゴールが凸凹を読み取るのと同じように、センサーが黒く書きこまれた部分を読みこんでいるというような原理と推測されます。作家の吹田さんとも少しお話しできました。隣の展示の 國府理 さんの作品は体験しませんでしたが、作家本人が実演しているのを見て周囲は大爆笑でした。この展覧会の出品作品をウェブの方でも詳細に紹介していただきたいと企画者のハヤシさんにお願いしたいです。


最後に体験したのは 山崎亨 さんの作品。山崎さんは私たちが市民ギャラリーに入った時から、ビデオカメラ片手にあちこち撮影していたので、不信に思っていましたが (失礼) 、私と池田が山崎さんの作品を体験して露骨に大騒ぎしている様子も知らない間に撮影していたようで「リアクションを撮らせていただきました」ですって。う〜ん、前に体験していた若者は静かにふるまっていたしね。私が随分前に雑誌で見て (たぶん『BT』) 、かなり強烈に記憶に残っていた作品があって、その制作者が山崎さんのように思えたので確認したらやっぱりそうでした。作品とかを単体で記憶していることってけっこうあるのですが、それが作家名と結びついているとは限らないものですし、さらに作家のお顔を存じ上げていることはまれなので、ここでいろんなパズルがぴたっと完成したような気がしました。


さて、今回のこの展覧会はひとことでいえば「楽しい」。無邪気に楽しい (出品作品すべてにこの言葉があてはまるとは言えませんが) 。企画の意図として「“コミュニケーション不全”の状態にある現代社会で、アートによって人間の“関係性”を問いなおす」という部分があるのですが、この展覧会はとても シンプルなかたちでそれを試みている という点で、好感が持てました。私自身も楽しかったです。そして何よりも実際に自分が体験してみる。たとえばスカートはいててもハシゴ登って、半透明のあやしげなかたちの寝椅子に身体を沈めてみる (私以外の人間からみると相当に妙な光景) 。そういうことをしてみることは、とりあえず他者とのコミュニケーションとは別に、自分自身とのコミュニケーションを持つ場として成立はしているな、と「実感」できるわけです。とりあえず、22日まで展覧会は続くので、機会のある人は傍観者としてではなくそこに参加してみることをおすすめします。


私自身は機械仕掛け系の作品をそれほど愛しているわけではありませんでしたが、たとえばかき氷を猛然と食べた後にこめかみのあたりが「キーン」とする、頭を抱えるけれどそれが徐々にほぐれて薄れてゆくのもまた快感だったりするあの感覚をコンセプチュアルアートに触れる快感にたとえるとするならば (無茶なたとえか?) 、この展覧に出品されていた心に残る作品のいくつかは、ひなびた温泉旅館あるいは田舎のボーリング場の片隅に置かれた卓球台で真剣に卓球勝負して勝ったり負けたりするような種類の開放感にも似ているかも……。ますます比喩が意味不明になってきたか? いや、しかし、卓球と書きましたが、私における卓球の意味はそれほど軽くなくて、中学時代、美術部に入る前は卓球部だったというほどの重要なものなのでした。はい。


馬鹿な話が止まらなくなりそうなので次に行きます。この日の最後は ウエストベスギャラリーコヅカ の移転記念のオープニング・パーティーで締めくくりました。開廊以来5度目の移転という、自称「引越し貧乏」のウエストベスギャラリーコヅカの新しいスペースは、元地下駐車場というかなり意表を突いたもので、作り込んだギャラリー空間は秘密基地みたいで面白かったです。百聞は一見に如かず、機会があれば是非訪れていただきたい場所です。



Top             Bottom



 週刊 モグラ屋通信 第13号 2000.1/19  


内藤です。13日は夕方から池田と名古屋にアートなおでかけ。伏見のドトールコーヒーで打ち合わせをした後、 ギャラリー絵門の国島征二展 へ。その後 KENJI TAKI GALLERY 村岡三郎 新作展 オープニングに向かいました。展覧会のタイトルは『WORK DESK(作業台)』。1階の会場へ入るとまず微かな硫黄の匂い。巨大なガラスのテーブルの下には、錆付いて転がされた酸素ボンベが並んでいました。いつもながらに重量級の村岡作品。2階スペースには入り口にドローイング、奥には金メッキされた1本の酸素ボンベと直方体の塩のかたまりがひとつ置かれているばかり。けれど、それだけで場は密度を増し、厳しくまた手応えのある空間がそこに生まれていました。手応え……、これ、忘れたくない感覚です。


オープニング・パーティーには村岡さんも出席されておりまして、少しだけお話できました。私は KENJI TAKI GALLERY が現在の場所に移転前する前、かつてあの戦前の名古屋を代表する近代建築の名作であるところの大和生命ビルにあった頃に、村岡さんの個展を見たことがあります。その展覧会では、会期中、電話回線を使って刻々と村岡さんの体温が送られ、ひとつの鉄板にその温度が伝えられるというものでした (仕掛けはよくわからないけれどそれほど複雑なものではないと記憶する) 。その時はちょうど村岡さんも会場にいらっしゃって、私は幸運にも直接作家からその説明をしていただきました。「触ってみてください」と言われて触ってみる私。「なまあたたかいです」と答えたような覚えがあります。なによりも本人を前にして本人に直接触れずにその体温を感じるというのは、たいへん奇妙な体験でした。「僕が発熱したら、この鉄板も熱くなるんです」っておっしゃるものだから、私はつい「え! じゃあ、これが冷たくなったら村岡さんは……」と突っ込むと「さすがに夜は電源切ってます」というリアクションが……。楽しい思い出です。


パーティー、それに引き続き二次会にもおじゃましましたが、なんだかものすごくたくさん話 (もちろんアートの話を中心に!) をしました。とても楽しかったです。エネルギーが充電されました。おかげで池田とふたりで旅行熱 (もちろんアートをめぐる旅です!) に冒されてしまって、どうしましょう? はぁ〜、光州&九州か……。先立つものを早くゲットせねばな。


15日は事務所にて、池田とふたりで ペーパー版モグラ屋通信 の制作。オフィス マッチング・モウルは、設立時すでに『ペーパー版モグラ屋通信』の0号 (私が一晩で作ったA4サイズ片面の挨拶状を兼ねたもの) を関係者に手渡しで配りました。そこで、今後の活動報告としてウェブの他にペーパー版を季刊で発行したいということも書きました。創刊号でもある第1号は0号よりも量的には少し充実のA3サイズ両面刷り。コピーだけど。文章は池田と私が半分ずつ担当。実質的な編集作業はレイアウトも含めて私が行いましたが、タイトル部分のみデザイン力に乏しい私に代わってボランティアで ファーストデザインの萩原さん がやってくれました。所用時間3分。さすがプロ。おかげさまで、手作り活動報告書は無事完成。一部誤字等アリ。 『ペーパー版モグラ屋通信』は基本的には仕事関係者に送っています。内容的にはこの Office Matching Mole on the Web と重なっていますが、それをまとめたものです。17日には池田と発送作業を完了。ふたりとも、画廊時代のDM発送を懐かしく思い出したりしました。関係各位には、近々お届けする予定なのでしばらくお待ちください。


まだ見ぬ、けれどこのウェブサイトをご覧になって オフィス マッチング・モウルの業務に関心を持たれ、将来仕事をごいっしょ出来る可能性を感じた方は メールにて ご連絡ください。郵送にて送らせていただきます。
* 上の写真はオフィスで作業するモグラ組。作業なので比較的ぼさぼさ。名入り封筒はまだなくて、左上の写真のようにすべての封筒に池田がまごころを込めて事務所印を押しました。右下の写真は内藤のデスクまわり。このように作品に囲まれてお仕事お仕事。



     
モグ通 BEFORE     モグ通 NEXT



 週刊モグラ屋通信 目次へ    TO HOME  

 オフィス マッチング・モウルへのご連絡、お問い合わせは E-mail/office@m-mole.com へお気軽にどうぞ